星明りとネオンの明かりが差し込むおかげでバーナビーの寝室は暗闇に支配されずに済んでいる。
けれど眼鏡を外されさんざん泣いてしまった彼の視界は完全にぼやけてしまっている。
だからだろうか。暗闇の、それも近い距離で見つけてしまった一対の金色の瞳を見た瞬間バーナビーの脳裏に獰猛な獣の姿を思い浮かべたのは。
「バーナビー、目を閉じるのとイクのは禁止な。あ、でも声は出していいからな。
まっ、約束破ったお仕置きなんだ。――少しぐらい我慢出来るよな?」
ねっとりとした熱が込められた虎徹の声にバーナビーは頷く。二度、三度と今度は約束を破らないから、と訴えるように。
それをみた虎徹は満足そうに笑い、バーナビーのこめかみに一つキスを落とした。
「いい子だ――」
虎徹の親指がバーナビーの唇をなぞったのを出発点に浅黒い節くれた男らしい指先がバーナビーの素肌をなぞり始める。
綺麗に、というよりは美しくという言葉がぴったりなバーナビーの体を軽いタッチで滑るように。
時には筋肉の筋を、時にはその谷間を触れてゆく。
ただしバーナビーが確実に感じるであろう部分には一切触れずに。
その、与えられる刺激の弱さが逆にバーナビーを攻め立てる。
もっと深い快楽を得たいとバーナビーの体が虎徹へ訴えかける。
既に尖っていた胸の先端は更に色見を増し、痛々しいほどに尖り、バーナビーのものはなぞられる場所に合わせてつけられた強弱に同調するかのように腹の上で踊る。
透明な液体を零しながら、達するには至らない弱い快楽に絡み取られながら。
「あぁ、そういえばここも好きだっけ」
ちょうど肋骨が途切れるあたりから腰にかけてのラインをなぞられバーナビーの体が強く揺れた。
噛み殺せなかった喘ぎ声と共にびくりびくりと。
「ほーんとどこもかしくも感じるようになっちゃって」
左手で自己を支えながら右手の人差指だけでなぞり続けていた虎徹はそのまま5本の指全てを使い始める。
先程よりもほんの少しだけ強く、けれど絶頂へと導くことのないゆるい刺激だけを与えるために。
「バーナビー。いますっげぇエロい顔してるって分かってる?」
欲情を更に煽るように吐息に熱をはらませ囁けばバーナビーの目が見開かれ首を左右に動かした。
達することの出来無いもどかしさが逆にバーナビーの理性を取り戻させたらしい。
熟れた美酒のように赤く色づいたバーナビーの体と、溶かされることを待ち望む表情は虎徹の劣情を更に煽る。
けれど戻ってきてしまったバーナビーの理性が委ねようとする心にストップを掛けるのだ。
もどかしすぎる熱が体中を駆け巡り、出口から放たれることを望むのに理性がそれを押し殺す――。
虎徹は与える罰は常に体を傷つけることはない。例外は目につきにくい場所に噛み跡をつけるのみ、だ。
だが今はソレすらしないまま言葉を言う目に見ないものでバーナビーを縛り上げてゆく。心も、体も身動き取れぬようぎりりぎの範囲で。
冷静な口調で喋り続ける虎徹とてその体は既に熱に侵されている。
ただバーナビーに気がつかせないようにしているだけだ。
その証拠に虎徹のものははっきりした形を浮き彫りにしていた。
だが、虎徹は己のものには一切触れない。ただただバーナビーを上り詰めてゆくことだけに専念する。
深い繋がりから得た快楽に見を委ね、達したあと無意識に伸ばされるその腕を引き寄せて、バーナビーの体を強く、強く抱きしめてあげるために。
虚空を掴むその指先の、更に先に求めるものがあると教え込むために。
――今宵もまた虎徹は己と闘いながらバーナビーに与えてゆく。
快楽と、満たされる感情と、そしてその更に先にある求めてやまないものがここにあるという現実を。
すでに限界まで固くなったバーナビーのものを見て虎徹は柔らかな笑みをこぼす。
そしてバーナビーの耳元で囁くのだ。
――俺が欲しいか? と、意地悪さを残したままの声色で。
――― END ―――
【 初出:2011/06/29−pixivより 】