優しい熱



 深く、深く互いを求めた日の翌朝バーナビーの意識は浮上し始める。
 どこまでも底の見えない深い場所で溶けきってしまった意識がぼんやりと元の形へと戻ろうとする。
 けれどまだ幸せな余韻に浸っていたいと思う。
 ふわりふわりと柔らかく心地良い感覚にバーナビーはまどろみ続ける。微笑みながら。

 全てが解明された訳ではないけれど、それでも過去の一件が一段落したバーナビーにとって恋人と共に迎える朝のこの時間が一番大切で好きだった。
 今までの自分には考えられなかったほど穏やかで世界が優しいとさえ思う。
 見る夢も、空気も、そして隣にバーナビーの髪を梳き続けている恋人の気配が。

 けれどいつまでもまどろんだままでは居られない。
 今日の午後にはインタビューと写真撮影が予定されているのだ。
 甘い痺れを腰に感じながら、バーナビーはゆっくりと目を開け虎徹を見やる。
 それに気がついた虎徹はおはよう、と挨拶をしてからバーナビーのかさついてしまった唇に触れた。

 バーナビーの体にじんわりと優しい熱が広がる。
 虎徹へ返事を返そうと言葉を発せば喉の掠れ具合に気が付きついつい彼を睨んでしまう。
 ただでさえ昨晩はなかなかイかせて貰えずさんざん泣かされてたのだ、むしろまだ声が出るだけマシなのかもしれない。そういえば目も腫れぼったい気がする。

 ――ちくり。

 不意に目に痛みが走り慌てて目を擦り始めたバーナビーに気がついたのか虎徹が声をかける。
 どうした、と優しく。すぐに痛みを伝えればキス出来る距離に虎徹の顔が見えた。
 ……あぁ、という虎徹の声とともに目にぬるりとした感触に驚いてバーナビーの体が強張った。

 せめて声をかけてからにしてくださいよ。と言えば少しでも早く痛みの原因取り除いたほうがいいだろう? と目の中に入っていたバーナビーの睫毛を見せつけた。
 ため息と共にあまり驚かさないで下さいと口にすれば虎徹はにんまりと笑みを浮かべ囁く。
 ――感じちゃった? と意地悪く楽しそうに。


     〜 Fin 〜

【 初出:2011/06/29−TwitterLogより 】
『指舐めシチュとは別の舐めシチュを書こう』にて。