酔ったバーナビーに煽られ、火がついてしまった虎徹は意識を切り替える。
深く、深く意識の中を潜り、普段は隠している鋭利な牙を突き立てるために――。
ふとバーナビーから奪いとり床に置いたままのワイングラスが目に入った。
ロゼを好む彼にはまずらしくグラスの中を満たしているのは血の色にも似た赤い液体だった。
香りを楽しんでから一口口に含めば虎徹の好きな辛口のモノだと気がつく。
そんなささやかな心遣いに虎徹は喜びを感じ笑みを深くした。
――バーナビー。
意図的に切り替えてた声色で名を呼べば、ビクリを体が揺れ赤みが更に増した。
虎徹の意識が切り替わったことを本能的に察したのだろう。
すでに潤んでいたバーナビーの目には熱の花が宿り、開花を待ち望むかのようにはらりと涙が零れた。
腰を抱き寄せワインで濡れた唇を虎徹は喰らい始める。
優しさのない、ただ奪い尽くすような激しさで虎徹はバーナビーを責め立てた。
薄暗い部屋に口づけの音だけが響く。
名残り惜しく唇が離れたあと、バーナビーは四肢に力が入らないのかくたりと虎徹にもたれかかった。
そのまましがみついてろ、と囁いて虎徹は器用にバーナビーの体を持ち上げる。
テレビで二度に渡り放映されてしまったいつぞやの役割は逆のまま。
間接照明すら消してしまえば瞬く星空と、不夜城と化したネオンの明かりが部屋に差し込む。
今宵、月の姿は見えない――。
大きなベットへとバーナビーを横たわらせ、乱れた髪を梳く。
ほころび始めた熱の花の思うがままにバーナビーは虎徹にすがろうとして動きを封じられた。
伸ばした両手を虎徹が片手で押さえ込んだのだ。バーナビーの頭上で。
そして囁く。
普段であれば恥ずかしがり嫌がるであろう行為をこの時にしか聞かせない声色で。
さらに駄目か? と耳元で問えばバーナビーの体が強張る。
絡め合った視線で促せば、一瞬の間を置いてから意を決したように頷いた。
拘束していた手を開放し、虎徹はバーナビーから少し距離をとった。
これから始まるであろう自慰行為を見るために。
時間をかけて着ていた服を脱いだバーナビーは恥ずかしさでもう泣きそうだった。
揺らぎ、虎徹に視線を送る目はこれから始める行為が終わらなければ愛して貰えないことを知っていた。
今までバーナビーは復讐という目的が全てだったせいでこの手のことは疎かった。
だからこそ恋人として付き合い始めた虎徹から一から手ほどきを受けてきた。
口づけの仕方や自慰行為すらも。
けれど今夜のはただの自慰行為ではない。
自分自身で好きに高ぶらせることすら出来ないのだ。
虎徹からの指示に従わなければならないのだから。
楽な姿勢でベットに座り直せばまだ自分で触れてもいないのに硬くそそり立つ己のものを見てしまいバーナビーは体を震わせた。
すでに酒の力もあってかバーナビーの理性は既に掻き消えている。
さすがの虎徹もそれを考慮してか的確に、単語だけで指示を飛ばす。
バーナビーは目を閉じることすら許されず、ただゆるりゆるりと手を動かす。
自分の手の動きとは反対にバーナビーの心は熱を求めて止まない。
なにより飢えた獣のような強い視線がバーナビーを射ぬいているのだ。高ぶらない方がおかしいだろう。
正直、バーナビーはほどんと自慰行為をしない。
必要性を感じていなかったこともあるが、自慰行為よりももっと気持いいことを虎徹から与えられるのも原因の一つだろう。
回数をこなしていない分、バーナビーは未だに下手だった。
だが、虎徹の指示通りに動かすだけでバーナビーはの体は甘い疼きを感じ腰が自然と揺れる。
得られる快楽が強くなればなるほど、バーナビーの指先は滑らかに動き淫靡な音を立ててゆく。
――バーナビー。
虎徹はわざと熱を孕ませた声で名前を囁けばバーナビーは呆気無く達してしまった。
深い快楽を得て、とろけきったままの表情を浮かべているバーナビーは虎徹が近づいて来たのは気がつかなかった。
ただ、近くでしゅるり――となにかを解く音が聞こえただけだった。
ベットに横たわらせたときと同じように虎徹の手がバーナビーの両手首を拘束する。
その上に解いたばかりのネクタイがはらりと置かれてからやっとバーナビーは彼の指示を守らなかったことに気がつき謝罪の言葉を紡いだ。
「最初に言っただろ、約束守れなかったらお仕置き済んぞって。
あぁ、ついでだから手首んとこに乗ってるネクタイ落とすなよ?
落としたらその場でやめるからな」
虎徹の台詞にバーナビーの心が縛り上げられる。
これから与えられるであろう快楽と、触れることを許されない事実にバーナビーは涙をこぼす。
溢れてくるソレには嫌だと思う気持ちと、もっと――と願う願望が入り交じっていた。
―― END ――
【 初出:2011/06/29−Pixiv『 けれど心は満たされる。 』より 】
『3分以内に1RTされたらドSな虎徹×へたくそなバーナビーをかきましょう』にて。